The Grasshopper meets the Hare

世界で一番自由奔放なキリギリスと、世界で一番のオッチョコチョイのウサギが語る、ニュースを明るくするブログです

気を付けろ、プーチンは急には止まれない・・・

ウクライナの混迷に乗じて、ロシアが介入しそうな雰囲気です。

武装集団がクリミア議会占拠 ロシア西部で戦闘機が警戒態勢に 米国はロシアに対し、ウクライナの領土と主権を尊重すべきと牽制球 ヤヌコビッチ氏、ロシアで会見

[事実]

この件について、報道されている事実をまとめると

  • ウクライナクリミア半島で27日、武装集団が地方政府庁舎と議会の建物を占拠し、ロシア国旗を掲げた。

  • ウクライナ新政権はロシアに対し、クリミア半島に駐留する艦隊に基地外で軍事行動を行わないようけん制した。ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は、ロシア黒海艦隊の指導者に対し「条約で認められた基地の境界線を越えた軍事行動は全て侵略行為とみなす」と警告した。

  • 一方、ロシア外務省は、ウクライナに住むロシア系住民の権利を「断固たる」態度で守ると表明。

  • 米政府はロシアに対し「挑発的な」行動を控えるよう警告。ケリー国務長官はロシアのラブロフ外相との電話会談で、ウクライナの安定化に向け米欧諸国と協調するよう促した。

  • インタファクス通信が27日にロシア国防省の話として伝えたところによると、同国西部の国境沿いの戦闘機が戦闘警戒態勢に入った。

  • ロシアのプーチン大統領はこの日(2月26日)、西部軍管区で緊急軍事演習の実施、および戦闘対応能力の点検を命じた。

  • ロシア領内で身の安全が保証されたと報じられていたヤヌコビッチ前大統領が同日(2月28日)、ウクライナとの国境に近い露南部ロストフナドヌーで記者会見し、一連の政変を非難した上で、「ウクライナの将来のために闘い続ける」と主張した。

  • 野党勢力と合意した、大統領選挙の前倒しや大統領権限を制限する憲法改正などの履行が唯一の解決策だと強調。是非を問う国民投票を行いたいとの意向を示した。

  • ヤヌコビッチ氏は、自身と家族の安全が確保されればウクライナに帰国すると強調。ロストフナドヌーに移動したのは身の危険から逃れるための「一時的避難」だと述べた。

[My Opinion]

今後ロシアのウクライナへの介入は避けられないでしょう。 もともと、ウクライナも、西半分はウクライナ語を話しますが、東半分はロシア寄りで、ロシア語を話したりします。ヤヌコビッチ氏が28日の会見をロシア語で行ったことは印象的です。

この状態を見て、ロシアが東半分を自分の勢力下に置きたいと考えるのは(特にプーチン氏にとっては)自然な成り行きです。

通常の国では、他国への軍事介入など、国際社会の反発を恐れるものですが、ロシアは国際社会からの避難など屁とも思わないでしょう。なんせ、国連安全保障理事会の「常任理事国」です。安全保障理事会でロシアに介入せよ、などという決議は絶対に通りませんし。 むしろ原油や天然ガスをロシアに頼っているEU諸国の方が栗しい立場に追い込まれるのではないでしょうか。

さて、時間はかかるにせよ、この秋までに、ロシアがウクライナへの軍事介入を終えて、東半分(クリミア半島も含む)に『ロシアの傀儡政権』を樹立したとしましょう。運悪く(?)ロシアのプーチン大統領は、今秋に日本訪問を予定しています。この状況で日本に来られると、安倍首相は苦しい立場に追い込まれます。

間違いなく、ウクライナの東半分の独立を認めるよう迫って来るでしょう。もちろん独立を認めれば、北方領土問題は解決に向けて動き出すでしょう。4島全部とは言わないまでも3島ぐらいは返って来るのではないかと思います。しかし、EU諸国から(特にアングロサクソン系の国々)は非難を受けることでしょう。

逆に独立を認めなかったり、そもそもプーチンの訪日をキャンセルしたりすると、プーチン氏の安倍首相への思いは急変するのではないかと。そうなるとロシアのビジネスチャンスはもとより、北方4島の返還も遠い先のことになってしまいます。

[結論]

これは辛い板ばさみです。でも、逃げたら、国際社会から逆に孤立することになるでしょう。安倍首相は予定通り日本で会談し、言うべきことは言い、結局は国民が決めることと、国民投票を呼び掛けるしか、取るべき道はないと思います。

おそらく、プーチン氏に来日させて、巨額の経済援助と引き換えに北方4島(3島ぐらい?)を返還させて、国民の支持を盤石なものにするつもりだったでしょうが、そうはいかなくなったのは明らかです。災い転じて…と出来るかどうか、安倍氏の引き寄せる運の力に全てがかかっているというところでしょうか。

ではまた、ぐ~ぴょん

Mt. Gox社は単なる例外でしょ?!金本位制とビットコイン本位制

日本のビットコイン取引所を運営していたMt. Gox社(マウントゴックス)が東京地裁民事再生手続きの申請を行ったとのことです。

ビットコイン破綻

Mt. Gox社は世界のビットコイン取引の3割を占める世界最大のビットコイン取引所でした。

そもそもビットコインは何なのでしょう?通貨、すなわち①交換手段となり、②価値測定の物差しとなり、③貯蔵可能、という三つの機能を備えた、新しい通貨になります。

皆さんは毎日何らかの形で通貨=お金を使っています。このお金というものの本質は何なのかというと、1971年までははっきりしていて、本質=金でした。すなわち、1971年までは、日本のお金は常に一定の割合(1$=360円、固定相場制)でUSドルに交換でき、さらにUSドルは金への交換が保証されていました。したがって、日本のお金というものは巡り巡って「金」と同じ価値を持っていたのです。つまり、日本のお金を使うということは、「金」を使って買い物をしているのと同じだったわけです。

ところが1971年に、当時の米国大統領ニクソンは、USドルと金の交換を一方的に停止してしまいました。いわゆるニクソンショックです。これによって、日本のお金は金に結びつかなくなってしまいました。で、それを受けて、人々は、お金に何を見出したかというと、通貨発行体の信用力です。つまり、このお金なら、万人がその価値を認めるだろうという、根拠のない信頼です。その裏付けとして語られるのが、発行体(国家)の力、経常黒字額、成長力、外貨準備高といったものですね。そして、この発行体の力は日々変動するため、従来の固定相場制では対応できず、変動相場制に移行しています。(話は少しそれますが、昨今日本の経常黒字が大幅に減少しており、経常赤字に陥るということで円安が進みました。)

では、ビットコインが通貨だというのなら、その価値の源泉はどこにあるのでしょうか?それは希少性にあります。ビットコインは、ある一定の数式を満足する数字の配列であり、これを満たす配列は2100万個しかありません。この2100万個しかないという希少性こそが、ビットコインの本質なのです。 ビットコインなどほとんど誰も知られていなかったのが、徐々に知られるようになり、参加者が増えたことで、1ビットコイン=1$ぐらいだったのが、1000$ぐらいに高騰しました。

今回Mt. Gox社が破綻したことで、ビットコインの信頼性に傷がつき、ビットコインに暗い影が差したという論調も多いのですが、いい加減な管理をしているとビットコインは機能しなくなるということを証明しただけであり、必ずしもビットコインの将来は暗いわけではないです。まだ世界にはビットコインの大手取引所6社などはちゃんと機能しており、信用維持に必死です。この試練を乗り越えられるかどうかが、ビットコインが世界に受け入れられるかどうかを決めるように思います。

ちなみに、同取引所から消えたという約83万のビットコインはどこに行ったんでしょうね??本当に盗まれたのか、取引所が隠したのか、、、単なる電子データなので、ナントでもなりますよね。。。男百億円の話なので、興味はありますね。

ではまた、ぐ~ぴょん

日本にカジノはやって来るのか??

日本のカジノに海外投資家も興味津々のようです。

日本に1兆円投資?

ここで話の出ているラスベガス・サンズ社ですが、2013年度7-9月期でみると、売上高3,570M$、純利益627M$。売上高のうち、カジノ収入は2,980M$、となっています。四半期の数字なので、4倍して、1$=100円とすると、売上高で1.42兆円、純利益で2500億円といった規模です。利益率2割弱。この規模なら投資資金1兆円でも出せそうな規模ですね。

CLSAは、東京、大阪の二大都市と10の地方都市でカジノが設立された場合、ゲーム産業から年間で総額400億ドル(約4兆円)の売り上げが期待できると試算した

しかし、レジャー白書2013によれば、パチンコ業界だけで19兆円の市場規模というので、4兆円というのはかなり控えめな水準。この4兆円を5社ぐらいで分割するとなると、1社8千億円。2割利益が出たとして1600億円。1兆円投資しても7年程度で回収可能で、いい投資先ですね。

とはいえ、今現在日本は賭博が違法になっているので、法令改正が必要になって来ます。これに関しては、

日本でカジノ運営は違法だが、昨年の臨時国会にカジノを合法化する法案が提出された。今年の通常国会での審議入りを経て、成立を目指している

とかいう状況ですね。まだ議員連盟を作って、法案提出したという段階。カジノは税収も上がるし、政府としてもやりたいところでしょう。東京に作れば、アジアからの観光客を呼び込めるし、ホテルへの投資も増える。オリンピックに舵のが加われば、かなり収支にはプラスに働くでしょう。

とはいえ、教育的にどうだとか、暴力団の資金源になるだとかいった議論が必ず出てきます。ここをどう乗り越えていくかが焦点ですね。ただ、マスコミはまだ全く騒いでいないので、また前の秘密保護法案のように、採決直前に騒ぎ出すのだけはやめてほしいですね。

ではまた、ぐ~ぴょん

そもそも無理だったのでは??TPP

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)がまた合意に失敗したようです。

漂流するTPP

私も勘違いしていましたが、そもそもTPPは、シンガポールブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国の経済連携協定として始まり、2006年5月に発効しています。なので、TPPは既に「ある」のです。

それに加えて、2010年3月から拡大交渉会合が始まり、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーが交渉に参加。その後マレーシア・メキシコ・カナダ・日本が交渉に参加しています。

これらの国は一律に扱えるようなものではなく、アメリカ・日本とそれ以外で経済規模に差があり過ぎます。(アメリカ・日本を除く10か国のGDPを合計しても、日本1国に満たないし、アメリカ以外の11か国のGDP合計はアメリカ1国に満たないです)。それゆえ、最大の2か国であるアメリカと日本の交渉の行方がTPPの拡大交渉に大きな影響を与えてきます。

日本は農産物重要5項目の関税維持を要求し、アメリカは自動車の関税維持を要求しています。TPPって自由貿易を目指すのではなかったかと思うのですが、それはそれ、というところでしょうか。

昨年の12月に最終合意に向けて動いていたはずですが、当然のように合意は見送られ、今回に至っています。今回も最終合意どころかルールの大枠を決める実質合意すらできていません。民族も規模も全然違う交渉国ですので、EUのように簡単には動きません。

次のメルクマールは、5月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合ですね。そこまでに合意していないと、さすがに辛くなってきます。

しかし、アメリカは、どうしても自動車関税を残すと言っていますが、関税って、2.5%ですからね。。。それに、トヨタ・ホンダなどの日本企業は既に現地化を終えており、自動車に関しては関税のかかる取引ってあまりないんです。

翻って日本は、(1)コメ(2)麦(3)牛肉・豚肉(4)乳製品(5)甘味資源作物、トータル586品目の関税を維持しようとしています。これらを自由化してしまうと、他国の安い農作物が入ってきて、カロリーベースの自給率に大きな影響を与えます。それ故関税で保護、ということです。だったら最初から交渉に参加しなければと思いますが、、、

これらを見ていると、アメリカは、(国のシンボル的な自動車産業の保護という面はあるが)実質的に意味のない関税にこだわり続けています。日本は、そもそもそこに関税をかけたいのなら最初からTPP交渉に参加するな、というレベルの話にこだわり続けています。なんとなく、両国とも、TPPを合意させたいのだとは思えない訳です。

ちょっと穿った見方をすれば、アメリカにとって、変な自由貿易圏を作られるのは好ましくないと考えたら、交渉に参加するフリして、だらだらと引き延ばせばいいのです。日本は、産業界にいい顔するために交渉に参加するものの、(与党自民党の勢力基盤である)農民向けには、交渉に参加しても農作物は守る、というポーズをとり続ければよいのです。両国とも、本当にTPP拡大の合意なんてしたくないのではないか、と思ってしまいます。

とりあえず、当分目立った動きがなく、もしかすると本当に空中分解してしまうかも知れません。その時一番喜ぶのは、日本の農民と、そこを地盤とする自民党議員でしょうか。。。でも、日本はますます世界の中での地位を下げていくことになって、我々の次の世代の時代は、世界のどこからも注目されない淋しい国になってしまっているかもしれませんね。(今でも十分、Japan Passingとか言われてますけどね)

ではまた、ぐ~ぴょん

数字のためなら~統計も変える~ それがどうした~文句があるか~

安倍首相は、2020年までに訪日外国人旅行者数を2000万人にする意向です。

安倍首相、訪日観光客目標

今年やっと1000万人を超えたと思ったら、7年後にはその倍にすると。

今年増えたのって、円安効果とビザ発給要件の緩和が要因です。これでやっと1千万を超えたばかりというのに、かなり強気な目標ですね。

と思っていたら、官公庁は、訪日外国人の統計集計方法を見直すようです。

観光庁、訪日外国人集計方法の見直し

記事曰く、

今年から日本を訪れる外国人旅行者の集計方法を見直し、入国した飛行機や船の乗務員を加えることを決めた 国連世界観光機関は、飛行機や船の乗務員は観光客に該当しないとして、外国人旅行者の受け入れ数に算入すべきでないと勧告しており、日本もそれに倣っていた。 しかし、フランスなど受け入れ数上位の国の一部や、日本がライバルとしている韓国は集計に含めており、同じ対応を取ることにした。

この変更によって200万人程度上乗せされるようで、今年の訪日観光客数は1244万人に跳ね上がります。

明らかに、安倍首相の『思い付き』発言に振り回されているだけです。首相が2000万人と言っているんだから、嵩上げする要素を何でも織り込め、と言わんばかりの対応です。観光客を増やしてどうしたいのか、2000万人を達成することにどういう意味があるのか、といった話はされることなく、数字だけを達成させようという、役人根性丸出しの対応です。

ただ、そんな苦肉の策を講じても、観光庁の2020年の予測は、1700~1800万人にとどまるようです。実質1500~1600万人ということですね。

わずか7年で5~6百万人増やすだけでも、結構大変な話ですよ。50週で割れば、1週間当たり10万人増える計算です。ジャンボジェットが500人入るとすると、200機分です。毎週満員のジャンボジェットが200機増えるって、大人気の国ですよ。。。更にその増えた人たちはホテルに泊まるので、10万人分のホテルが必要です。日本最大の品川プリンスで3600室で、一部屋3人入れて1万人ですので、品川プリンスを10個作らないといけません!でも7年でホテルなんて建ちませんからね。。。どうしましょ?

ということから考えて、今の観光庁(安倍総理も…)は数字遊びに興じているだけのように見えます。もちろんカジノ誘致の話もあるし、全く無理とは言わないまでも、インフラ整備もできないのに2000万人とか言わないでほしいところ。2000万人来てもらってどうしたいのかをまず打ち出すのが先ではないのかと。

ではまた、ぐ~ぴょん

「竹島の日」に考えること~日本の領土問題3件~ (3/3)

竹島の日シリーズ、最後は北方領土です。

こちらも当然のように外務省が日本の主張をやっています。

北方領土Q&A

北方領土とは、現在ロシア連邦実効支配している択捉島国後島色丹島歯舞群島の島々を指します。これらは日本の「固有の領土」であるので、日本に返還されるべきというのが日本の立場。

千島列島に関しては、1855年に調印した日魯通好条約で、日露の国境を「択捉島とウルップ島との間」に定めています。その後1875年の樺太千島交換条約において、その他の千島列島をロシアから譲り受け、ロシアに対して樺太全島を譲り渡しています。この時点で全千島列島は日本の領土になっていました。

さて、1945年8月にソ連日ソ中立条約を無視して宣戦布告し、千島列島をすべて占領してしまいました。この中には上記の北方4島も含まれています。

そして、1951年のサンフランシスコ平和条約で、日本は千島列島を放棄します。ただし、「放棄」しただけで、どこに帰属するのか書いていないところがミソです。さらに、サンフランシスコ平和条約ソ連は調印していないため、千島列島は宙ぶらりんの状態になっています。

その後1993年に、当時のロシアのエリツィン大統領との間で、東京宣言が出され、北方領土問題が存在することが確認されました。

その後は、2島返還論等様々なアイデアが出るものの解決には至らずの状態です。

さて、日本は北方領土が日本領であることの説明として、「固有の領土」という言葉を使っています。しかしながら「固有の領土」という言葉は国際法上の言葉ではないもので、英語でも"an integral part of Japan's sovereign territory"という言葉で表されている状態で、日本の統治領域の一部、とかいった理解のされ方をしているようです。つまるところ、日本がいくら「固有の領土だから返せ」といっても誰も気にしてくれない訳です。

さらに、サンフランシスコ平和条約調印時に、吉田首相は受諾演説で、「日本の本土たる北海道の一部を構成する色丹島及び歯舞諸島」と発言しており、これら2島は日本の領土と認識していたものの、択捉島国後島の2島は放棄した千島列島に含まれると解釈していたわけです。しかしこの解釈は1956年2月に取り消されます。そして同年12月に日ソ共同宣言を発し、日ソは国交を回復します。

日ソ共同宣言の中で、ソ連は平和条約締結後に色丹島及び歯舞諸島の2島は返還する旨謳っています。実際これら2島返還を基に平和条約締結に向かう動きもあったのですが、一部4島返還論者が強固に反対し、平和条約は締結されませんでした。

こういったことを考えると、色丹島歯舞諸島の2島は日本領でほぼ決まりです。残る2島をどうするかが問題です。実際サンフランシスコ平和条約締結時には、これら2島も放棄したという解釈をしていたわけで、そこは弱みです。なので、「固有の領土」などという国際法上何の意味もない言葉をひねくりだして騒いでいるのでしょう。実際「千島列島を放棄した」という文章を「国後島択捉島は含んでいない」と解釈するのは無理があると思います。 ということからすると、ロシアから回収できそうなのは、色丹島歯舞諸島、そしてラッキーだったら国後島が返って来るぐらいでしょう。それ以上を求めても無理だし、日本も強く主張できる立場にはないと思います。ちょうどロシアのプーチン大統領が日本に接近中なので、この機に最も有利な立場で平和条約を締結してしまうのが、最善の策ではないかと思います。日露の接近を快く思わない外野(米国・中国等)はあれこれ邪魔してくるでしょうが、ここは安倍首相に頑張ってもらいたいところです。

ということで、北方領土に関する結論は、色丹島歯舞諸島は日本領。その他は交渉次第。ただし、日本側も当初国後・択捉の両島は放棄したものと考えていたこともあり、4島返還は高望みしすぎ。せいぜい3島返還が関の山と考えられる。領土問題でもめているより、さっさとロシアとの関係を強化することが、今後のエネルギー政策東考えると有効ではないかと思われる。

3日間書いて来て、日本の領土というものが全てサンフランシスコ平和条約、ひいてはポツダム宣言で決められていることに驚きました。全て決め事だったのですね。。。

ではまた、ぐ~ぴょん

「竹島の日」に考えること~日本の領土問題3件~ (2/3)

昨日の続き。日本の領土問題、今日は尖閣諸島です。

この件についても、昨日の竹島同様、外務省がQ&Aを作っています。

尖閣Q&A

尖閣諸島は、沖縄県の西、台湾より北の点在する島々です。 地理的には、沖縄のある南西諸島とは異なり、ユーラシア大陸側の大陸棚上にあります。その意味では少々異質な島です。

尖閣諸島は長らく無人島だったのですが、明治時代、1885年に明治政府が調査に入り、1895年に『無主地』であることを確認の上、無主地先占の法理に基づき、領土に編入しています。

時は流れて、戦後、サンフランシスコ条約により、尖閣諸島は南西諸島の一部として、米国の施政下に入ります。特にこの段階で中国側からの反対はありません。

そして1971年6月に調印(1972年5月発効)の沖縄返還協定により、尖閣諸島も日本に返還されました。

一方、1968年秋、国連アジア極東経済委員会の協力を得て行った学術調査の結果、東シナ海に石油埋蔵の可能性ありとの指摘がなされます。これを見た中国、台湾側が尖閣諸島に興味を抱きます。そして、沖縄返還協定の調印前後、1971年4月に台湾が、同年12月に中国が領有権を主張し始め、今日に至っています。最近では民主党政権時代に、中国側から反対されているのにもかかわらず尖閣諸島の国有化を断行し、よりこの問題を複雑にしてしまいました。

さて、尖閣問題、歴史的には以上なのですが、全ては「石油があるかも知れない」という思惑によって動いています。

領土という意味では、1895年に領土に編入することを宣言したとき、特に中国側からも反対なかったことで、日本の領土であったということははっきりしています。また、サンフランシスコ条約で中国や台湾に返還した領域の中に、尖閣諸島は含まれていません。さらに、同条約でアメリカ施政下に置き、沖縄返還協定で返還された範囲に尖閣が含まれている、ということからも、尖閣諸島が日本の領土に含まれることは確実です(結局、戦後の日本の領土は、ポツダム宣言サンフランシスコ条約でさだめられているので)。

ただ、日本にも弱いところはないわけではないです。例えば、1895年の領土編入ですが、明治政府が調査を始めたのは1885年。領土編入までに10年かかっています。無主地の確認などあっという間に終わるはずなのに、10年もかけたのは少し違和感があります。更に、1895年といえば、ちょうど日清戦争が日本の勝利で終わることが明確になっていた時期でもあり、領土編入しても中国(清国)は文句を言わないだろうと考えたのではないかと思われるフシもあります。とはいえ、事実としては1895年に領土編入したということしかないので、ここはこれで置いておきます。

あと、ポツダム宣言では、「日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに吾等の決定する諸小島」に限られるとされています。ここに尖閣が入っているのかどうか、というのが問題です。これはポツダム宣言の趣旨を汲んだサンフランシスコ平和条約が、尖閣諸島を沖縄の一部として米国の施政下に置き、沖縄返還協定で返還していることから考えて、ポツダム宣言の範囲内だと考えて問題ないでしょう。

これらの事実により、日本側としては、尖閣諸島に関して領土問題はない、と言い切れる状況にはあります。

ところが、最後にして最大の問題が、田中元総理、福田元総理が中国側と交わしたとされる尖閣棚上げ問題です。米国の中国への接近を受けて、田中元総理が中国上層部と接触を始め、1972年に日中共同声明日中国交正常化に至ります。その後も福田元総理の時代に1978年日中平和条約を締結しています。この交渉の過程で、中国側は、「両国の指導者は『釣魚島問題』は放置し,以後の解決に委ねることにつき重要な了解と共通認識に達した」と主張しています。日本側はそのような事実はないと真っ向から反論しています。この件は、田中元首相が口頭で了解していたのに日本の外務省が議事録から削除したという話を聞いたことがありますが、実際どうだったのかは不明で、秘密保護法案が通過した後の日本では永遠に明らかになることはないでしょう。 もし、中国側の主張通り、両首相が「領土問題を次の世代に」委ねるということを了解していたのであれば、日中間には領土問題が存在することを認めたことになります。これは大いにまずいわけです。なので、外務省は、何があろうとこの件を否定し続けないといけない訳です。

いずれにせよ、尖閣問題は、この地域に「石油が埋蔵されている」という可能性だけで動いています。石油が出なければ、不毛の地であり、どこの領土になっても問題ない土地です。人類のエネルギー問題のためにも石油発掘調査に動きたいところですが、動くに動けないところです。 石油があることがハッキリしてしまえば、日中台の熱い戦争が起きる可能性も大いにありうるだけに、「次の世代」までそっとしておくしかないのでしょう。それか、領土としては日本だが、埋蔵資源については、ある程度中台に権利を認める、といった解決しかないように見えます。

結論としては、「尖閣諸島は日本の領土であるが、問題解決までには長期間を要する。資源開発のためには早期決着が必要だが、そのためにはある程度中国・台湾に権利を認める必要があるだろう。それが嫌なら、このままずっと現状を維持するしかない。」といったところでしょうか。

明日は、北方領土についてです。こちらはこれまでとはちょっと違うイメージですね。

ではまた、ぐ~ぴょん