The Grasshopper meets the Hare

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「竹島の日」に考えること~日本の領土問題3件~ (2/3)

昨日の続き。日本の領土問題、今日は尖閣諸島です。

この件についても、昨日の竹島同様、外務省がQ&Aを作っています。

尖閣Q&A

尖閣諸島は、沖縄県の西、台湾より北の点在する島々です。 地理的には、沖縄のある南西諸島とは異なり、ユーラシア大陸側の大陸棚上にあります。その意味では少々異質な島です。

尖閣諸島は長らく無人島だったのですが、明治時代、1885年に明治政府が調査に入り、1895年に『無主地』であることを確認の上、無主地先占の法理に基づき、領土に編入しています。

時は流れて、戦後、サンフランシスコ条約により、尖閣諸島は南西諸島の一部として、米国の施政下に入ります。特にこの段階で中国側からの反対はありません。

そして1971年6月に調印(1972年5月発効)の沖縄返還協定により、尖閣諸島も日本に返還されました。

一方、1968年秋、国連アジア極東経済委員会の協力を得て行った学術調査の結果、東シナ海に石油埋蔵の可能性ありとの指摘がなされます。これを見た中国、台湾側が尖閣諸島に興味を抱きます。そして、沖縄返還協定の調印前後、1971年4月に台湾が、同年12月に中国が領有権を主張し始め、今日に至っています。最近では民主党政権時代に、中国側から反対されているのにもかかわらず尖閣諸島の国有化を断行し、よりこの問題を複雑にしてしまいました。

さて、尖閣問題、歴史的には以上なのですが、全ては「石油があるかも知れない」という思惑によって動いています。

領土という意味では、1895年に領土に編入することを宣言したとき、特に中国側からも反対なかったことで、日本の領土であったということははっきりしています。また、サンフランシスコ条約で中国や台湾に返還した領域の中に、尖閣諸島は含まれていません。さらに、同条約でアメリカ施政下に置き、沖縄返還協定で返還された範囲に尖閣が含まれている、ということからも、尖閣諸島が日本の領土に含まれることは確実です(結局、戦後の日本の領土は、ポツダム宣言サンフランシスコ条約でさだめられているので)。

ただ、日本にも弱いところはないわけではないです。例えば、1895年の領土編入ですが、明治政府が調査を始めたのは1885年。領土編入までに10年かかっています。無主地の確認などあっという間に終わるはずなのに、10年もかけたのは少し違和感があります。更に、1895年といえば、ちょうど日清戦争が日本の勝利で終わることが明確になっていた時期でもあり、領土編入しても中国(清国)は文句を言わないだろうと考えたのではないかと思われるフシもあります。とはいえ、事実としては1895年に領土編入したということしかないので、ここはこれで置いておきます。

あと、ポツダム宣言では、「日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに吾等の決定する諸小島」に限られるとされています。ここに尖閣が入っているのかどうか、というのが問題です。これはポツダム宣言の趣旨を汲んだサンフランシスコ平和条約が、尖閣諸島を沖縄の一部として米国の施政下に置き、沖縄返還協定で返還していることから考えて、ポツダム宣言の範囲内だと考えて問題ないでしょう。

これらの事実により、日本側としては、尖閣諸島に関して領土問題はない、と言い切れる状況にはあります。

ところが、最後にして最大の問題が、田中元総理、福田元総理が中国側と交わしたとされる尖閣棚上げ問題です。米国の中国への接近を受けて、田中元総理が中国上層部と接触を始め、1972年に日中共同声明日中国交正常化に至ります。その後も福田元総理の時代に1978年日中平和条約を締結しています。この交渉の過程で、中国側は、「両国の指導者は『釣魚島問題』は放置し,以後の解決に委ねることにつき重要な了解と共通認識に達した」と主張しています。日本側はそのような事実はないと真っ向から反論しています。この件は、田中元首相が口頭で了解していたのに日本の外務省が議事録から削除したという話を聞いたことがありますが、実際どうだったのかは不明で、秘密保護法案が通過した後の日本では永遠に明らかになることはないでしょう。 もし、中国側の主張通り、両首相が「領土問題を次の世代に」委ねるということを了解していたのであれば、日中間には領土問題が存在することを認めたことになります。これは大いにまずいわけです。なので、外務省は、何があろうとこの件を否定し続けないといけない訳です。

いずれにせよ、尖閣問題は、この地域に「石油が埋蔵されている」という可能性だけで動いています。石油が出なければ、不毛の地であり、どこの領土になっても問題ない土地です。人類のエネルギー問題のためにも石油発掘調査に動きたいところですが、動くに動けないところです。 石油があることがハッキリしてしまえば、日中台の熱い戦争が起きる可能性も大いにありうるだけに、「次の世代」までそっとしておくしかないのでしょう。それか、領土としては日本だが、埋蔵資源については、ある程度中台に権利を認める、といった解決しかないように見えます。

結論としては、「尖閣諸島は日本の領土であるが、問題解決までには長期間を要する。資源開発のためには早期決着が必要だが、そのためにはある程度中国・台湾に権利を認める必要があるだろう。それが嫌なら、このままずっと現状を維持するしかない。」といったところでしょうか。

明日は、北方領土についてです。こちらはこれまでとはちょっと違うイメージですね。

ではまた、ぐ~ぴょん