The Grasshopper meets the Hare

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「竹島の日」に考えること~日本の領土問題3件~ (3/3)

竹島の日シリーズ、最後は北方領土です。

こちらも当然のように外務省が日本の主張をやっています。

北方領土Q&A

北方領土とは、現在ロシア連邦実効支配している択捉島国後島色丹島歯舞群島の島々を指します。これらは日本の「固有の領土」であるので、日本に返還されるべきというのが日本の立場。

千島列島に関しては、1855年に調印した日魯通好条約で、日露の国境を「択捉島とウルップ島との間」に定めています。その後1875年の樺太千島交換条約において、その他の千島列島をロシアから譲り受け、ロシアに対して樺太全島を譲り渡しています。この時点で全千島列島は日本の領土になっていました。

さて、1945年8月にソ連日ソ中立条約を無視して宣戦布告し、千島列島をすべて占領してしまいました。この中には上記の北方4島も含まれています。

そして、1951年のサンフランシスコ平和条約で、日本は千島列島を放棄します。ただし、「放棄」しただけで、どこに帰属するのか書いていないところがミソです。さらに、サンフランシスコ平和条約ソ連は調印していないため、千島列島は宙ぶらりんの状態になっています。

その後1993年に、当時のロシアのエリツィン大統領との間で、東京宣言が出され、北方領土問題が存在することが確認されました。

その後は、2島返還論等様々なアイデアが出るものの解決には至らずの状態です。

さて、日本は北方領土が日本領であることの説明として、「固有の領土」という言葉を使っています。しかしながら「固有の領土」という言葉は国際法上の言葉ではないもので、英語でも"an integral part of Japan's sovereign territory"という言葉で表されている状態で、日本の統治領域の一部、とかいった理解のされ方をしているようです。つまるところ、日本がいくら「固有の領土だから返せ」といっても誰も気にしてくれない訳です。

さらに、サンフランシスコ平和条約調印時に、吉田首相は受諾演説で、「日本の本土たる北海道の一部を構成する色丹島及び歯舞諸島」と発言しており、これら2島は日本の領土と認識していたものの、択捉島国後島の2島は放棄した千島列島に含まれると解釈していたわけです。しかしこの解釈は1956年2月に取り消されます。そして同年12月に日ソ共同宣言を発し、日ソは国交を回復します。

日ソ共同宣言の中で、ソ連は平和条約締結後に色丹島及び歯舞諸島の2島は返還する旨謳っています。実際これら2島返還を基に平和条約締結に向かう動きもあったのですが、一部4島返還論者が強固に反対し、平和条約は締結されませんでした。

こういったことを考えると、色丹島歯舞諸島の2島は日本領でほぼ決まりです。残る2島をどうするかが問題です。実際サンフランシスコ平和条約締結時には、これら2島も放棄したという解釈をしていたわけで、そこは弱みです。なので、「固有の領土」などという国際法上何の意味もない言葉をひねくりだして騒いでいるのでしょう。実際「千島列島を放棄した」という文章を「国後島択捉島は含んでいない」と解釈するのは無理があると思います。 ということからすると、ロシアから回収できそうなのは、色丹島歯舞諸島、そしてラッキーだったら国後島が返って来るぐらいでしょう。それ以上を求めても無理だし、日本も強く主張できる立場にはないと思います。ちょうどロシアのプーチン大統領が日本に接近中なので、この機に最も有利な立場で平和条約を締結してしまうのが、最善の策ではないかと思います。日露の接近を快く思わない外野(米国・中国等)はあれこれ邪魔してくるでしょうが、ここは安倍首相に頑張ってもらいたいところです。

ということで、北方領土に関する結論は、色丹島歯舞諸島は日本領。その他は交渉次第。ただし、日本側も当初国後・択捉の両島は放棄したものと考えていたこともあり、4島返還は高望みしすぎ。せいぜい3島返還が関の山と考えられる。領土問題でもめているより、さっさとロシアとの関係を強化することが、今後のエネルギー政策東考えると有効ではないかと思われる。

3日間書いて来て、日本の領土というものが全てサンフランシスコ平和条約、ひいてはポツダム宣言で決められていることに驚きました。全て決め事だったのですね。。。

ではまた、ぐ~ぴょん