The Grasshopper meets the Hare

世界で一番自由奔放なキリギリスと、世界で一番のオッチョコチョイのウサギが語る、ニュースを明るくするブログです

あまりにあまりな甘利大臣!

甘利経済再生担当相は、賃上げに非協力な企業に対し「経産省が何らかの対応を」すると発言しています。

賃上げ非協力企業には何らかの対応を

「政府は、復興特別法人税の減税を前倒しして、原資を渡している。利益があがっているのに何もしないのであれば、経済の好循環に非協力ということで、経済産業省から何らかの対応がある」

とのこと。

日本の行政府は、いつの間に私企業の賃金にまで口を出せるようになったのでしょうか? そんなに賃上げしたいのなら、最低賃金引き上げ額、でも法律で決めてしまえば、みんな粛々と従うでしょう。それは、憲法にすら違反しそうな話なので、しないんでしょうね。

今日は春闘の回答のピークです。軒並み2千円から3千円ぐらいの「ベア」が実施されています。甘利大臣の影響なのか、そもそも事前に政府と企業トップとの間でネゴがなされていたものと思います。

そもそも賃上げが必要なのは、アベノミクスで物価が上がると、企業の成長圧力が高まります。その結果人手不足になり、賃金が自動的に上がるというシナリオだったはずです。

しかしアベノミクスで達成したのは、10%程度の円安だけです。円安になったからと言って輸出が増えた訳でもありません。一部トヨタ等の企業は最高益を更新していますが、これも企業活動が活発になったからというものではなく、海外市場が好景気で、海外の現地工場で生産したものを海外市場で売りさばいただけの話です。で、その利益は、円安レートで換算されてくるので、海外市場での利益がさらに増えるという話です。

更に悪いことに、円安になったために、輸入物資、特に原油・天然ガスといった燃料系の価格が上昇します。原発をストップしている日本には、燃料計の価格上昇はかなり堪えているハズです。 で、この燃料価格の上昇が、安倍総理念願の、物価上昇を引き起こします。これを見て日銀の黒田総裁などは喜んでいる訳ですが、当初、誰も「燃料価格を挙げてインフレを引き起こす」なんて言ってなかったわけで、現在のインフレは当初の目論みからかなり外れた動きです。

ということで、日本国内でいえば、①企業活動水準は特に変化なく、②燃料価格上昇で企業も製品価格を挙げざるを得ない、という状況です。燃料価格の上昇が企業の利益の圧迫要因となるので、企業は固定費、特に人件費を上げたくないのが本音でしょう。

そんなときに、政府は、儲かっているんだから賃上げしろ!というシュプレヒコールを送ってくるわけです。企業にとってはたまらない話です。さらに、賃上げしないと怖いぞ、とまで脅されている訳で、企業側はとにかくベースアップの振りをしないといけない立場に追い込まれたわけです。 ということで、企業が取った行動はというと、「とにかく、少なくてもいいからベースアップをするのだ」ということです。今回ほぼ一律と言っていいぐらいベア2千円~3千円のレベルで回答がなされているのは偶然ではないでしょう。

しかしですよ、トヨタの場合、ベアは6年ぶりです。新日鉄住金に至っては、14年ぶりのベアで、さらに2年で2千円!早々とベアを決めたローソンも12年ぶりです。6年~14年間で2~3千円のアップしかないって、実は賃上げと呼ぶにはかなりお粗末な水準だと思います。それを嬉々として報道しているマスコミの態度って、大丈夫なのか、という気分です。

繰り返しますが、企業活動水準に変化はないので、賃上げは即利益の圧迫要因です。なので、今日の株式市場はどんと400円近く下げています。中国やウクライナの影響とか言っていますが、最大の要因は賃上げの影響ではないかと思っています。

まあ、それも今年限りかな。。。アベノミクス失速で、来年にはベアなど議論にもならないんじゃないかと予想しています。

結論

国家は民間企業の賃金に入り込むな!もっと企業活動を伸ばすことに力を入れろ!

ではまた、ぐ~ぴょん