The Grasshopper meets the Hare

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日本農業に必要なのは『有事自給率』の考え方だ (1/2)

アベノミクスに大騒ぎするあまり、TPPの聖域ぐらいでしか語られることのなくなった日本の農業ですが、最近社説によく登場するようになりました。

日経 自給率より農業の収益力向上を目標に

農業活性化がカギ

安倍総理 食料自給率の向上を目指す

さて、「あなたは、日本の自給率が高い方が良いですか、低い方が良いですか」と聞かれたらどう答えます?余程のひねくれものでもない限り、高い方が良いと答えるのではないでしょうか。それも踏まえて、日本は農業分野でどのようにしていけばいいのでしょう。

結論

××× ←明日書きます

根拠事項

日本が参加を表明しているTPP(環太平洋連携協定)では、日本は農業聖域5分野の関税維持をかたくなに守っており、(アメリカの自動車分野の関税維持と合わせ)TPPの検討が進まない一因となっています。

2012年度のカロリーベース自給率は39%に過ぎません。残りは外国からの輸入です。この状態では、有事の時、もし日本以外の外国全てが一斉に日本向け食糧輸出をストップした時、日本人口1億人としたら、6.1千万人が餓死する計算になります。確かに一大事のように見えます。

しかし、この考え方は、以下の理由で意味がないことと分かります。

  1. そもそも日本以外の全世界が日本の敵になることはありえないこと
  2. 外国の食糧扱う企業も日本への輸出が出来なくなるため、禁輸に対しては自国政府に強く働き掛けるだろうこと
  3. ここ数十年、どんなに悪いことしても(ex.北朝鮮)食料の確保は出来ていること
  4. 原油の輸出を止められると、どれだけ耕地があっても耕せず、食料は確保できないこと

1.2.3. について、世界各国が植民地を持っていた第1次世界大戦第2次世界大戦の時代は、ある国(イギリス・フランスなど)が禁輸措置を取れば、ただちに大きな影響が出せました。そんな国が数か国集まれば、日本を干上がらせることぐらい簡単でした。(食料ではないが、戦前のABCD包囲網) でも、今は200か国程度の国があり、それらがみんな意見が異なる状態です。そんな中、日本を餓死させるために食糧輸出を禁止するといったって、従わない国は相当数出ます。そしたら、その辺りの国から食料を買い付けることもできるようになります。そもそも、禁輸措置を取っている国でも、日本への輸出で食べていっている企業を抱え込んでいるのだから、それらの企業からの圧力もでてきます。北朝鮮クラスのかなり「お行儀の悪い」国ですら、何となく食べていけています。  よって、戦前・前後と違って、日本に食糧が入ってこないことはないです。

4.について、せっかく自給率UPのために耕作地を作っても、有事に原油をストップされたとしましょう。すると、コンバインが動かない、作物が取れても運ぶ自動車もない、、、といった感じで、石油社会の日本では、原油を止められてしまうのが一番痛い。食料を止めるぐらいだったら原油も停まっているでしょうから、結局食料を作ることもできなくなるので、有事の時には、平時に自給率が何%あるかなど、意味がないのです。

したがって、現在の自給率(カロリーベースも生産額ベースも)を高めることには何の意味もありません。必要なのは有事の時の自給率だからです。

こういった、有事の時の食糧確保を気にする方々のために、現行の「カロリーベース自給率」「生産額ベース自給率」の他に、『有事自給率』という概念を作っておけばまだ役に立つのかな、とは思います。ただ、それでも1.2.の件があるので、結局日本に食料は入って来るでしょう。

では、「有事自給率」を高めるためにどうすればいいか??といったことを中心に明日書いてみようと思います。

ではまた、ぐ~ぴょん