The Grasshopper meets the Hare

世界で一番自由奔放なキリギリスと、世界で一番のオッチョコチョイのウサギが語る、ニュースを明るくするブログです

パナマ運河騒動は遠い国の話じゃないんですよ~

パナマ運河の拡張工事がトラブッています。

パナマ運河追加費用負担

パナマ運河とは、大西洋と太平洋をつなぐ運河で、スエズ運河と並んで最も重要な運河の一つです。その重要性もあり、1999年までは米国が管理してきましたが、今ではパナマ共和国に返還されています。

完成したのは1914年8月。前月には第一次世界大戦が勃発しており、世界は大騒動だったわけですが、米国はいわゆる「モンロー主義」で、ヨーロッパの戦争などどこ吹く風の時期です(アメリカの参戦は1917年4月)。

運河開通から100年近くたってみると、通航量の増大や船舶の大型化によって、現状の運河では苦しくなってきました。そこで2006年に国民投票までやって、運河の拡張を行うこととしました。これによって、これまで通航できなかった大型船が通れるようになり、大西洋と太平洋の交通が改善します。

この工事、運河開通100周年の2014年に完成予定が、既に1年延びて2015年完成予定になっていました(ちなみに、初代については予定工期より2年完成が早まっています)。ヨーロッパのゼネコン連合が約31億ドルで受注していますが、これがナント16億ドルの追加コストがかかるということに。 これをパナマ政府と企業連合のどっちが負担するかでもめにもめ、ついに工事がストップしてしまいました。

日本人からすれば、遠い国のゴタゴタに過ぎず、どうでもいいんじゃないか、とか思ってしまいますが、実はそうとも言えないのです。

パナマ運河が拡張されることにより、大型船が通行できるようになると書きましたが、その大型船には、石油や石炭船に加え、LNG船が含まれます。このLNG船こそ日本に大きな影響を与えます。

今アメリカでシェール岩盤からシェールガスを取り出すシェール革命が進んでいます。最近では日本への輸出も認められたりして、コストが低いことから期待されていますが、このシェールガスはメキシコ湾岸に集められています。よって、日本に持ってくるには、大西洋から太平洋へ渡らないといけません。しかし、今のパナマ運河では通航できるサイズ(パナマックスサイズとか呼ばれますが)が決まっていて、LNG船は通航できません。これが拡張工事によって通行できるようになるのです!!

どうです?日本に影響が出てきましたね。ここ最近日本は慢性的な貿易赤字国になっていて、その理由の一つにエネルギー輸入金額の増加というのがあります。もしシェールガスによってコストが下がるのであれば、日本の将来に大きな希望となります。よってその命運を握るパナマ運河騒動は、対岸の火事では済まされません。

なんなら、「たかが」16億ドルなので、今話題の『5.5兆円』の補正予算使って日本が払ってあげてもいいのではないか??LNGだけで6兆円(2012年度実績)も輸入しているんですから。。。

ではまた、ぐ~ぴょん