The Grasshopper meets the Hare

世界で一番自由奔放なキリギリスと、世界で一番のオッチョコチョイのウサギが語る、ニュースを明るくするブログです

ソニーの半導体子会社の買収は、落日のソニーの印象。。。

格付け会社ムーディーズジャパンは、ソニーの発行体格付けを一段階下げて、『投機的』水準にしたとのこと。

ソニー格付け

ソニーが『中級』の一番下のBaa3の水準に落ち込んだのが2102年9月。わずか1年4か月でついに『投機的』水準に陥ったことになります。

その一方で、ソニー半導体工場を70億円で買っています。

ルネサス半導体工場

この買収は、次の理由により勧められません。

  1. 投機的とされている会社が、財務体質を悪化させる投資をする意味がない
  2. ソニーの注力分野が見えなくなってしまう
  3. 他にすべきことから目を背ける結果になる

ここではカメラ用センサーを作る予定のようですが、そのためには追加投資として200億円が必要のこと。合計すると270億円の投資です。ソニーCMOSセンサーでは世界トップシェアで3割を押さえていますが、今回は需要の高いCMOSセンサー生産体制の増強といった意味合いです。 もちろん、総資産約14兆円、自己資本2.2兆円の企業にとって、270億円など端金と言えるのでしょうが、格付けが落ちる中では決してよくは見てもらえません。

ストリンガー時代の、デジタル時代ともいえる無形物を追い求めていた時代から、モノを追い求める時代に移ったのかな、と思ったりもしましたが、同時に、ソニーは何の会社になろうとしているのか全く見えなくなりました。 今のソニーの利益を支えているのは、テレビでもゲームでもありません(それらはむしろ赤字事業になっています)。ソニーの利益は『金融事業』によって支えられているのです。 金融事業で稼いだ利益を、本業ともいえるテレビやゲームに投入して復活させる、という戦略なら分かるのですが、今回の投資先はセンサー事業です。儲かっている事業ではあるのでしょうが、ソニーはそんなマイナーな分野を強化している暇はあるのでしょうかね??小遣い稼ぎ??それともテレビやゲームも捨てて、センサー技術の会社になろうとしているのか??よく分かりません。

ソニーの株価は2007年ごろは7000円を超える水準にありましたが、昨年は最安値772円と1/10の水準にまで落ち込みました。昨今ではアベノミクス効果で上昇していますが、本日の終値で1665円という水準です。この落ち込みをどうにかするのが最重要だと思うのですが、モノづくりに見せかけた投資を行うことで、本来考えるべきことから目を背ける結果になっていないかと心配になります。 経営者は本当にやるべきことは何か、ということに考えを集中させるべきです。そうしたら、今回のような中途半端な買収など考えることはなかったのではないかと思った次第です。

ではまた、ぐ~ぴょん