The Grasshopper meets the Hare

世界で一番自由奔放なキリギリスと、世界で一番のオッチョコチョイのウサギが語る、ニュースを明るくするブログです

そもそも無理だったのでは??TPP

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)がまた合意に失敗したようです。

漂流するTPP

私も勘違いしていましたが、そもそもTPPは、シンガポールブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国の経済連携協定として始まり、2006年5月に発効しています。なので、TPPは既に「ある」のです。

それに加えて、2010年3月から拡大交渉会合が始まり、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーが交渉に参加。その後マレーシア・メキシコ・カナダ・日本が交渉に参加しています。

これらの国は一律に扱えるようなものではなく、アメリカ・日本とそれ以外で経済規模に差があり過ぎます。(アメリカ・日本を除く10か国のGDPを合計しても、日本1国に満たないし、アメリカ以外の11か国のGDP合計はアメリカ1国に満たないです)。それゆえ、最大の2か国であるアメリカと日本の交渉の行方がTPPの拡大交渉に大きな影響を与えてきます。

日本は農産物重要5項目の関税維持を要求し、アメリカは自動車の関税維持を要求しています。TPPって自由貿易を目指すのではなかったかと思うのですが、それはそれ、というところでしょうか。

昨年の12月に最終合意に向けて動いていたはずですが、当然のように合意は見送られ、今回に至っています。今回も最終合意どころかルールの大枠を決める実質合意すらできていません。民族も規模も全然違う交渉国ですので、EUのように簡単には動きません。

次のメルクマールは、5月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合ですね。そこまでに合意していないと、さすがに辛くなってきます。

しかし、アメリカは、どうしても自動車関税を残すと言っていますが、関税って、2.5%ですからね。。。それに、トヨタ・ホンダなどの日本企業は既に現地化を終えており、自動車に関しては関税のかかる取引ってあまりないんです。

翻って日本は、(1)コメ(2)麦(3)牛肉・豚肉(4)乳製品(5)甘味資源作物、トータル586品目の関税を維持しようとしています。これらを自由化してしまうと、他国の安い農作物が入ってきて、カロリーベースの自給率に大きな影響を与えます。それ故関税で保護、ということです。だったら最初から交渉に参加しなければと思いますが、、、

これらを見ていると、アメリカは、(国のシンボル的な自動車産業の保護という面はあるが)実質的に意味のない関税にこだわり続けています。日本は、そもそもそこに関税をかけたいのなら最初からTPP交渉に参加するな、というレベルの話にこだわり続けています。なんとなく、両国とも、TPPを合意させたいのだとは思えない訳です。

ちょっと穿った見方をすれば、アメリカにとって、変な自由貿易圏を作られるのは好ましくないと考えたら、交渉に参加するフリして、だらだらと引き延ばせばいいのです。日本は、産業界にいい顔するために交渉に参加するものの、(与党自民党の勢力基盤である)農民向けには、交渉に参加しても農作物は守る、というポーズをとり続ければよいのです。両国とも、本当にTPP拡大の合意なんてしたくないのではないか、と思ってしまいます。

とりあえず、当分目立った動きがなく、もしかすると本当に空中分解してしまうかも知れません。その時一番喜ぶのは、日本の農民と、そこを地盤とする自民党議員でしょうか。。。でも、日本はますます世界の中での地位を下げていくことになって、我々の次の世代の時代は、世界のどこからも注目されない淋しい国になってしまっているかもしれませんね。(今でも十分、Japan Passingとか言われてますけどね)

ではまた、ぐ~ぴょん